ひとの振り見て

「こらぁ、そこっ。手が違う!」

小学男子が通う空手教室では、今日も先生の鋭い怒号が飛んでいます。長いながい夏休み明けのレッスンということもあってか、いつにも増して子供達の動きにキレが見られません。アタフタしている少年拳士の背中に、「練習不足」の文字がくっきりと浮かび上がってきました。

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初級クラスのレッスンとはいえ、彼らにとってはまだまだ慣れない動きがたくさん出てきます。気をつけなければならないポイントも少なくありません。初心者なりに大変なのです。しかも、彼らはまだ小学生ですから。

困ったときは、友だち頼み。不安と焦りが浮かんだ彼らの視線は、自然と周りの練習仲間へ注がれていくのでした。まさか、その安易な行動が先生のさらなるイラだちを呼ぶことになろうとは、まだ誰も気づいていないようです。

先生の指示に従い素直に動ける生徒と、その友達を頼りに後追いするサボり組。2つのグループの所作には、どうしても時間的なズレが出てしまいます。そして、練習不足から生じたその遅れがさらなる焦りを誘い、先生の話しは頭の中に届きません。こうなると、もう頼りになるのは視界に入る周囲の友達だけです。

この悪循環にはまってしまった生徒達は、文字通り右も左も分からなくなります。前に立つ級友から目を離せないために、身体の回転が逆になったり。じつは間違って覚えている隣の朋友に、惑わされたり。家では出来ていたはずの正しい振りも、いつの間にやら見失ってしまったり。

「ほらっ。そこ、足が反対!」
「何度、言えばわかるの!?」

あ〜、また一人だけ間違ってるし。そんな我が子の慌てる姿を見ていると、むかし母親から何度も聞かされていた言葉が、私の耳をよぎっていくのでした。


「他人(ひと)の振り見て、我が振り直せ」


子供のことは、笑えませんね。。。先生、今まで本当にごめんなさい。